ゴルトベルク2018 ご来場ありがとうございました。

ゴルトベルク変奏曲、多くのお客様にご来場いただき無事終えることが出来ました。
ありがとうございました!

リハーサル中にも本番中にも新しい発見があり(単に練習段階で気づいてなかっただけ??)、弾けども弾けども山は高くなるばかりだなと改めて実感しました。

細かい点を言えば、今回は各変奏のつながりは考えずに演奏しました。各変奏を人生に喩えるなら、各変奏は、「こういうこともあった」「あの時はああだった」「こうしておけばよかった」「いまはこうしている」など各コマが並列されているのもアリなのだはと思ったからです。
何某の変奏から次の変奏へ間髪入れずに移る方法もあり、ドラマティックな展開や求心力を与えることもできますが、今回は以上の理由からあえてはずしました。

来年もやらなくては!との思いも交錯しながらの82分間でした。

お客様が最後まで高い集中力で聴いてくださったことに本当に感謝しております。

来年の新春山登り(ゴルトベルク変奏曲リサイタル)は1月19日(土)です。

プログラムの最後のページを引用します。

「長い旅の終わりに出発点に還り着く。
              そこは初めて出会う場所」

上の詩はT.S.エリオットの詩集「四つの四重奏」からの一節です。
長い旅を経て、出発点に立ち戻ると、そこは今までと異なった場所に見えるという意味ですが、長い旅=ゴルトベルク変奏曲の各変奏とするならば、最後にもう一度冒頭のアリアに立ち戻ったとき、そのアリアが冒頭とは全く異なった聞こえ方をするというふうに解釈することもできると思います。
幾多の変奏を通じ、我々の内面が変化変容していくからで、それは楽譜上の変奏だけでなく、心の変奏でもあるのかもしれません。
何度も演奏してきた曲ですが、この曲の変奏を人生に喩えるなら、次がどんな変奏なのかは知らない方が良い。毎回初めて出会ったように新鮮な気持ちで楽譜に向き合いたいと思います。ページをめくるたびに、その気持ちを大切にし演奏したいと思います。

もう少し範囲を広げてみましょう。
私は、ここ1年半ほど、バッハの平均律クラヴィーア曲集第1巻の演奏をゴルトベルク変奏曲と並行して行ってきました。クラシック音楽の礎となる記念碑的大作です。この曲集がなければ今我々が耳にする音楽も違った響きになっていたと思います。
この曲集は12曲ずつの長調、短調で計24曲になりますが、12という数字は1年や干支の数、24という数字は一日の時間なので我々の生活とも密接に関係があると言えます。

来月には同曲のCDがリリースされ、7月1日には東京・ルーテル市ヶ谷ホールで全曲演奏会を行います。森羅万象や人間のもつ様々な感情をバッハが認めた平均律クラヴィーア曲集第1巻を演奏し、1年後の2019年1月19日には再びゴルトベルク変奏曲を演奏します。来年のゴルトベルクはどのように響くでしょうか。
皆さまに再びお会いできますように。


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コメント

感動しました!

土曜日の演奏会、バッハの世界を堪能させていただきました。当日の会場でのアンケートも提出していますが、乱筆かつ舌足らずだったため僭越ながら感想を多少追記させていただきます。
ゴルトベルグは自分にとってもとても大切な曲で、聴くだけでなく、いくつかの曲は自ら弾いて楽しんでおりますが、中でも最後のクォドリベットは四声の「ごちゃまぜ歌」のどのパートを歌わせるのかとか色々研究したりしていて、したがって今回もどのような弾き方をされるのかな?という注目ポイントでした。
グールドほかのCDなどを色々聴いていて頭にあったのは、一つ前の第29変奏のジャカジャカした勢いをそのままに維持してなだれ込むように元気良く弾くスタイルだったので、髙橋さんのように楽譜のページを繰りながら一つ一つ進めるスタイルだと、つなげかたが難しいのでは?と途中で心配してましたが、予想を裏切る郷愁あふれる表現に驚かされました。
アンケートにも書いたように、聴きながら頭に浮かんできた光景は、外で遊び疲れた子供が夕暮れに家に帰ると、夕餉の支度をしている母親が「晩ごはんができてるよ」と迎える姿(おかずはきっとカブとキャベツのクリームシチュー?)、あとなぜか上野の会場を後にしながら「夕焼け小焼け」の童謡が思い出されました。(全く余談ですが、インスパイアされるままに家に帰ってこの第30変奏の上に「夕焼け小焼け」をクオドリベットしたらピッタリと重なり合いました、よろしければ一度試してみてください。)
聴く側の勝手なイマジネーションかもしれませんが、前週の解説で言われてた原曲の「こんなに長い間留守にした」というヒントの一つの解釈としてこういう表現があったのかと目から鱗が落ちる思いと同時に、多様な解釈を許容するバッハ楽曲の懐の深さを痛感しました。今後自分が表現する際にもおおいに参考にさせていただきたいと思います。
これからも機会を見て、髙橋さんの演奏やお話を是非拝聴させていただきたいと存じます。

2018/01/22 (Mon) 22:19 | 宮部大輔 #- | URL | 編集
ありがとうございます!

宮部大輔様
はじめまして。先日はご来場ありがとうございました。また嬉しい感想をありがとうございます。
クオドリペット、いままでも色々な解釈で弾いて来ました。初出しのときは、29変奏から間髪置かずに入り、テンポも速めでしたが、2回目からはだんだん遅くなっていると思います(笑) レコード芸術でも「どこかおっとりしたクォドリペットも面白い」と評をいただいたこともあります。宮部さんのおっしゃる通り、郷愁とか、夕方とか、下校の音楽 のイメージを持っていましたが、帰宅するとキャベツとカブのクリームシチュウウの解釈までは考えていませんでした!なるほど、言われてみるとその通りですね!
夕焼け小焼け!すごいです!まったく新しい解釈の可能性がまだまだあるのだと思うと、バッハをますます尊敬します!
今年はもう一回、都内でゴルトベルクを弾きます。その時はどういう解釈になるでしょうか。高橋

2018/02/09 (Fri) 10:08 | 高橋望 #- | URL | 編集
素晴らしかったです。

高橋さま

東京文化会館でゴルトベルク変奏曲を聴きました。素晴らしかったです。また、最初に私の大好きな平均律クラヴィーア曲集を少し弾いてくれたこと、とても嬉しかったです。

高橋さまのこれからのますますのご活躍を心からお祈りしています。

ありがとうございました。

2018/06/02 (Sat) 17:38 | 松村 訓明(まつむら のりあき) #EBUSheBA | URL | 編集
Re: 素晴らしかったです。

松村訓明様

1月のリサイタルにはご来場ありがとうございました。嬉しいコメントをありがとうございます。
平均律がお好きなのですね♪ 平均律、ゴルトベルクはこれからも何度も挑戦していきたいと思っております。

以下宣伝になってしまいますが…
※第1巻全曲盤をリリースしましたので、お聴きいただけたら幸いです。
また7月1日には東京・ルーテル市ヶ谷ホールで、同曲集のリサイタルも行います。
さらには8月11日に東京・すみだトリフォニー小ホールにてゴルトベルク変奏曲を演奏します。



2018/06/02 (Sat) 22:56 | 髙橋望(Takahashi Nozomu) #- | URL | 編集

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