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ゴルトベルク変奏曲解説 その3 (1/20プログラムより)

いよいよゴルトベルク変奏曲の内容に迫ります!


1)全体の構成
妻アンナ・マグダレーナの音楽帳にあるアリアで始まり、その後30の変奏曲が続く。30は3の倍数で、キリスト教で言うところの三位一体。ドイツでは3が重なると良いことがあると言うことわざもある(皆様にも良いことがありますように♪)。最後は冒頭のアリアがもう一度演奏される。合計32曲。
3曲ずつのまとまりをもって作曲されているが、ど真ん中の第16変奏に序曲があるので2つに分けることも可能。また演奏者の側から見ると5曲ずつのまとまりで進んでいくと演奏しやすい。
このアリアは32小節であり、その後の各変奏曲も同じく32小節(第3、第9、第16変奏は数え方により32となる)で出来ている。

2)何を変奏?
変奏は変装。要するに服の着せ替えである。一体のマネキンをもとに服の着せ替えを楽しむ趣向。通常、変奏というと右手のメロディラインがマネキンに当たる部分となり、そこに種々の服を着せ替えていくと思われがち。しかしゴルトベルク変奏曲の場合はアリアの中で左手が担当する低音がマネキンに相当する。各小節に1つずつの低音が32小節続くから32の低音の流れが出来上がる。32の音の連なりはマネキンの身長に相当するから各変奏の小節数は変わらない。身長は変えられないのだ。しかし右手は自由に変奏できるから色々な着せ替えが可能=様々な体型に対応できるから女装も男装も違和感ない!イタリアの美しいソプラノ歌手(第13変奏)になったかと思うと、十字架を背負って行く痛々しいキリストの姿(第15変奏)にもなり、フランスの華やかな宮廷の人々(第16変奏)にもなれるし、誰もみたことのない天の嘆き(第25変奏)にも変装できる!?それを可能にするにはマネキンに「様々な変装に耐え得る体型」が必要なわけだが、32の低音にバッハはその可能性を感じたに違いない!
長大な曲を作るにはヒントや下敷きに相当するものがあることが多い。ズバリ、バッハはヘンデルのシャコンヌを下敷きにしたと思う。ヘンデルは8つの低音の流れをもとに21の変奏曲(シャコンヌ)を書いた。8つの低音がゴルトベルクの低音と全く同じなのだ。ヘンデルのシャコンヌは1733年出版。ゴルトベルク変奏曲は1741年出版。当時ロンドン在住のヘンデルはロンドンとアムステルダムで同曲を出版したが、出版社にはライプツィヒ聖トーマス教会のバッハからの注文記録があるという(C・ヴォルフ著「ヨハン・セバスティアン・バッハ」(春秋社刊)585ページ)。バッハはヘンデルのシャコンヌを知った後にゴルトベルクを書いたのだ。これだけなら最初の低音8つがたまたま同じということもあるかもしれないが、ヘンデルの第5変奏のあとにゴルトベルクの第5変奏を聴いてごらんなさい!ほとんど同じ曲にしか聞こえないではないか!ヘンデルの第19変奏のあとにゴルトベルクの第26変奏を聴くと高音部のラインも同じ!作曲家はルーツを明かさないことが多いが、私はバッハがヘンデルのシャコンヌを下敷きにし、それを拡大、長編の変奏曲に仕立てていったのではないかと思っている。

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